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ご挨拶




鳥取大学医学部附属病院精神科
科長 兼子 幸一

 鳥取大学精神科は、「地域医療への貢献」、「精神医学の発展への寄与」、「科学性と共感性を兼ね備えた精神科医の養成」という3つのテーマを教室の理念に掲げ、日々の診療・研究・教育活動を行っています。精神医療の重要性は、厚生労働省が従来の4大疾病(虚血性心疾患、脳血管疾患、糖尿病、がん)に精神疾患を加え、5大疾病の1つと位置付けたことからも分るように、徐々に社会に浸透していると考えております。精神疾患の患者数が顕著な増加傾向を示すとともに、精神疾患が患者さんの日常生活に強い影響を及ぼすことも広く知られるところとなっています。当科では、多様な薬物療法や心理社会的治療法の中から、適切なものを選択し、科学的視点に立ってその効果を検証しながら、最善の治療を実践することを目指しています。精神疾患の治療・リハビリテーションは長期にわたって必要になることが多く、継続可能性が重要なポイントになります。そのため、当科では患者さんご自身に、治療法の選択等の判断に積極的に参加して頂けるよう、十分な情報提供や患者さんやご家族のご意向の把握等、必要なコミュニケーションを図ることができる患者-医師関係の構築を重視しています。
 当科は大学病院の精神科として、統合失調症やうつ病において、従来の治療で十分な改善が得られなかった治療抵抗性の方に対する先端的方法を用いた治療、精神疾患と身体合併症の両方をもつ方の精神科的治療も重要な使命と考えております。また、統合失調症の方を対象に行っている認知リハビリテーションは当科の特色となっています。認知機能には、記憶や注意、遂行機能(日常生活における複雑な目的を達成するために必要な複数の手順について、適切に順序立てて実行する能力)などの神経認知機能や対人関係で相手の意図を理解するための社会認知機能などの幅広い認知能力が含まれます。認知機能の問題は統合失調症の方の長期的な生活能力や対人関係に大きな影響をもたらすことが分かっており、当科ではNEAR (Neuropsychological Educational Approach to Cognitive Remediation)という神経認知リハビリテーションを実践し、生活能力の向上を目指しています。
 最後になりますが、精神医療は、患者さんに対する十分な理解を背景として行う必要があり、ご家族様や地域で支援に当たられる方々の実に多くのご協力のもとにはじめて成り立つものです。当科としましても、患者さんを支えるこうしたネットワークと協働しながら精神医療を行って参りたいと考えております。