統合失調症

統合失調症

 統合失調症の主な症状は、幻聴や妄想などの陽性症状、意欲低下や引きこもりなどの陰性症状、作業能力低下や注意力低下などの認知機能障害があります。不登校やうつ状態で始まる場合もあります。初発年齢は、80%が15~30歳に集中することから、学業や仕事への影響が大きい疾患です。又、発病初期の数年が予後に影響を与えるという説があり、初期治療の重要性が強調されています。

治療は抗精神病薬による薬物療法を中心として、リハビリテーション、就労支援など包括的な手段によって、再発予防、QOL(生活の質)の向上など、長期的予後も考えながら対応していきます。薬物治療については、服薬継続率が約40%と低いという実態があります。服薬継続率を上げるためには、薬の飲み心地などを患者さんから率直に教えてもらい、医師と患者さんが共に知恵を出し合い、治療方針を決定していくことが重要です。

鳥取大学医学部精神科の特色は、クロザピンによる治療と認知矯正療法を行っていることです。

クロザピンは、これまで多くの抗精神病薬による薬物療法でも改善に乏しかった統合失調症の方を改善する可能性がある薬剤です。ただ、副作用の早期発見、防止の観点から、処方できる施設には、厳格な規定が設けられています。そのクロザリル患者モニタリングサービス(CPMS)登録医療機関は、鳥取県では2014年4月現在、当院と国立病院機構鳥取医療センターです。

認知矯正療法は、薬物療法だけでは改善が難しいとされている認知機能障害に対するアプローチで、トレーニングと言語セッションを組み合わせて行います。トレーニングでは、コンピュータソフトを用いて、参加者の特性に合わせたプログラムに取り組みます。言語セッションでは、ゲームクリアのこつや、ゲームで必要とされる認知機能について話し合い、家事や就労など社会生活との橋渡しを促します。

再発、再燃を予防するだけでなく、より健康度の高い生活を送るための治療的対応をするように、各医師は努めています。

クロザリルについて

クロザリルは、今までの薬では改善しなかった統合失調症の方々に効果をもたらす可能性のある飲み薬です。日本では、2009年から処方できるようになり、2013年5月現在、約1500例に投与されたことがあり、治療反応率は60%前後と言われています。

症状の改善だけでなく、QOLの回復、地域で生活できる期間が延びる、攻撃的行動や自殺衝動が減るなどの良い面もあります。一方、今まで飲んでいた薬は中止してからクロザリルを始めるので、一時的に症状が悪化する場合があります。又、飲み始めには、だるさや眠気、唾液が多く出るなどがみられますが、これは2,3ヶ月でおさまってきます。さらに、重篤な副作用が起こる可能性があるため、処方できる施設は限定されています。鳥取県では2014年4月現在、クロザリル患者モニタリングサービス(CPMS)登録医療機関は、当院と国立病院機構鳥取医療センターだけです。

治療を始める時には、患者さんは、飲み心地を率直に伝え、医師は、効果と副作用を慎重にみていきます。患者と医師がクロザリル治療の利点、欠点の情報を共有し、治療方針を共に決定する姿勢が大切です。
制約の多い薬ですが、病気を抱えながら、新しい目標をもって生活するために、クロザリルは一定の役割を果たすと期待されています。